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企業ブランディングとは?中小企業における目的と手法について事例を交えて解説

2023.09.19
ブランディング
ライデンBlog担当

企業ブランディング(コーポレートブランディング)とはどのようなものなのでしょうか。

チャネルや価値観が多様化している今日では、企業の競争はかつてのようなマスを捉えた戦略が通用しなくなりつつあります。
顧客となり得る特定の嗜好・ニーズを持った人々に対し、あらゆるメディア・チャネルを通して個別のアプローチを仕掛けることが重要です。

本記事では、顧客体験を向上させるために重要な要素の「企業ブランディング」について解説します。

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企業ブランディングとは企業価値を維持し向上させること

企業ブランディング(コーポレートブランディング)とは、企業自体のブランド価値を高める取り組みのことを指す言葉です。

企業がどのような立場にあり、どのような技術をもっているのかという本質的な企業価値を明確にし、社会に浸透させることを目標としています。そうすることで、顧客を始めとするステークホルダーからの継続的な信頼を得られ、長期にわたって企業に利益をもたらすでしょう。

企業ブランディングは、大企業が自社のイメージを変えるために取り組むことがありますが、競争の激しい中小企業でも、自社だからこその特徴を打ち出すために重要な施策だといえます。

他社、他社商品と比較したときの競争力を明確にしておくことは、「選ばれる理由作り」として最初の一歩になるでしょう。

企業ブランディングの3つの目的

企業ブランディングは顧客その他ステークホルダーとの信頼関係を築くことや、自社に合った優秀な人材を確保すること、組織全体のモチベーションを向上させることなどを目的としています。

それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

目的①顧客との信頼関係の構築

企業ブランディングの根幹である「理念」を内外に明確にし、社会をリードすることによって顧客や消費者、株主などに期待感や信頼感を与えられます。

顧客に対しては常にベネフィットを提供し続けることで、顧客ロイヤルティ・エンゲージメントを高められます。

ステークホルダーからの信頼が、企業に持続的な利益をもたらすでしょう。資金調達においても有利に進められるため、積極的な設備投資(未来への投資)が可能になります。

目的②自社を強化する人材の採用

企業ブランディングによって消費者や社会に認知・評価されることは、人材採用面でも有利です。まずは企業を幅広く認知させることが必要で、次に採用ブランディングを進めて入社を希望する人材にアピールします。

志が高く能力のある人材は価値ある企業に向かいます。また企業に愛着を感じられる人材は長く企業に関わってくれるでしょう。

企業の価値と活動に共感し、可能性や愛着を感じたモチベーションの高い人材が集まることで、組織を強化できるのです。

目的③組織のモチベーションの向上

企業ブランディングで社会における使命や存在意義が明確になり、市場から期待されることは、経営者だけでなく従業員にとってもやりがいのあることです。

インナーブランディングにおいては企業理念を社内に浸透させ、それが市場における評価と連動していることが重要です。

企業のなかで働いているだけでなく、組織のしくみを通して社会のなかで働き、貢献しているという感覚を持つことが、従業員エンゲージメントにとって必要でしょう。

中小企業に合ったブランディング手法5ステップ

大企業と比べて中小企業は、ブランディングに投入できる経営資源が限られます。その一方で、中小企業は組織が小さいがゆえのアドバンテージもあります。
中小企業の優位性を活かし、不利な条件を克服する企業ブランディングが必要です。

ここでは、中小企業が企業ブランディングに取り組む際の手法について解説します。

①自社の強みを明確にする

他社に対する自社の技術面・販売面での独自性、特定の顧客層からの支持や愛着を持たれていることなどの「強み」について、社内で明確にすることが重要です。

それらの事実から、一時の流行に囚われない永続的・本質的な価値が見出せるでしょう。
自社の強みを明確にすることで、ブランディングの方向性を設定しやすくなります。

②コーポレートアイデンティティを設定

企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を言語化します。
自社がどのような使命感を持ち、どのような方向性を掲げ、どのような価値を社会に提供するのか、なぜ提供するのかを明確に設定しましょう。

そうすることで、ブランディングだけでなく、社内業務の方針についても上手くまとめ上げられます。
顧客から地域社会までをも含むステークホルダーに対する自社の存在意義や使命を明らかにすることが重要です。

③全てのサービスに戦略とイメージを一貫させる

ブランディングにおいては、企業が展開する全てのサービスにおける戦略とイメージを一貫させることが重要です。
組織が大きいと、部門ごとに戦略の理解度に差が生じて、一貫性を持たせにくくなったり、部門間のタイムラグが生じてしまったりします。

反対に、組織が比較的小さな中小企業では、戦略やイメージに一貫性を持たせやすいことが強みといえるでしょう。
従業員や商品、それに関するサポートだけでなく、雇用や販売方法など、人と関わるあらゆる接点での戦略を一貫させることが重要です。

④社内に理念を浸透させる

社内に理念を浸透させるには、3年、5年などの長い期間が必要で、継続的なアクションが重要です。

社内報・社内SNSなどの媒体を活用してトップのメッセージ動画を配信・共有することや、社内SNSを利用して社員同士のコミュニケーションの活性化を図ります。

上司と部下との面談の機会を活用し、一人ひとりのビジョンや在り方を互いに確認することで、理念を自分ごととして捉えて自発的な行動ができるようにサポートします。

⑤施策を柔軟にアップデートする

顧客や社会のニーズは、常に変化するため、企業ブランディングに求められる環境は一定ではありません。
理念のように基本的な部分は守りつつ、経験を踏まえ、時代に合わせてアップデートすることが必要です。

組織の小さな中小企業は、変化に柔軟・迅速に対応しやすい点が強みで、対応が早ければ先進性を感じさせることも可能です。

中小企業に合ったブランディング施策7種

ブランディングにはさまざまな施策がありますが、ここでは中小企業に合った施策を紹介します。マスメディア広告は認知にとって効果的であるものの、費用面で中小企業には負担が大きいでしょう。

中小企業のブランディングのためにできることをまとめます。

①ブランドステートメント作成

ブランドステートメントとは「ブランドの表明」つまりブランドを表す端的なフレーズ(言葉)です。企業の理念をMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に落とし込んだ場合、それぞれのステートメントを作成します。

たとえば家具・インテリア小売業のニトリの場合はMVVの代わりに、ロマン・ビジョン・スローガンなどのブランドステートメントがあります。

株式会社ニトリのブランドステートメント

ロマン住まいの豊かさを世界の人々に提供する。
ビジョン(2032年において)

3,000店舗 売上高 3兆円へ

世界の人々に豊かな暮らしを提案する企業へ

スローガンお、ねだん以上。

②ロゴ制作

企業ブランディングにとってロゴは象徴であり拠り所です。

ロゴは企業ブランドだけでなく商品・サービスブランドにも必要で、企業のあらゆる生産物に表示してアイデンティティを表現します。

企業のアイデンティティをより具体的に伝えるために、短いフレーズ(タグライン)を含めて制作される場合もあります。

③商品パッケージデザイン

商品パッケージは消費者の手に渡るもので、一定期間、消費者が所持しているものです。
商品を購入した喜びをより強くさせる効果もあり、良いパッケージデザインはそれだけでも価値を持つといえるでしょう。

商品を手にするというユーザー体験(UX)から得られる感動やイメージは、そのまま商品や企業のイメージに結びつきます。

④キャラクター制作

企業がオリジナルキャラクターを持つことにはさまざまなメリットがあるでしょう。

キャラクターは「親しみ」や「楽しさ」「気持ち」などを表現できる点がロゴと大きく異なる点で、コミュニケーションのシーンで活用することによって効果を生みます。

たとえばSNSで使用されるスタンプなどにも展開可能です。

海外にも人気が波及している「くまモン」は、熊本県が著作権を持ち、申請して認められれば民間で利用できます。

キャラクターが広く利用される仕組みを作ることで、企業の認知とイメージ向上につなげられるでしょう。

⑤Webサイト制作

企業ブランディングの総合的な拠り所となるものはWebサイトでしょう。コーポレートサイトは企業を知りたい人は必ずといってよいほど利用するWebサイトです。

またブランディングのために専用のサイト(ブランドサイト)を制作する場合もあります。

動画と連動してイメージ作りをすることなども行われます。

採用サイトは企業ブランディングの一環として機能し、社会的な評価を高めることにもつながるでしょう。

⑥SNS運用

企業側の能動的なアクションばかりではなく、顧客や消費者の行動によってブランドが市場に浸透するという側面があります。

口コミなど、ユーザーの行動に委ねるためにSNSを運用することで、ユーザーが自ら商品・サービスを他の消費者に紹介してくれることを期待できます。UGC(User Generated Content)を上手に活用することが重要です。

SNSでブランドが拡散されると認知度が向上し、広告をしなくてもセールスにつながるという状況が生まれます。

⑦イベント・セミナー

企業ブランディングのためには、さまざまなユーザーとの接点を活用しましょう。

イベントへの参加や企画、そこでセミナーを開催することによって、企業をより深く認知してもらう機会を作ります。

近年ではWeb会議システムを活用したウェビナーも盛んに開催されています。

展示会等のブースに来場するユーザーは、すでに企業に対して興味を持っているため、見込み顧客として大切な存在です。具体的なニーズや要望を直接聞くチャンスでもあります。

企業ブランディング 2つの弊社事例

この章では、弊社が企業ブランディングを手がけたWebサイトの事例についてご紹介します。
マーケティングや採用活動において、単なる商品やサービスのマーケティングとは異なる視点から、企業の存在意義をどのように表現したかを含めて解説します。

事例①ジー・エフ税理士法人様

今後の企業方針に鑑み、多様な案件対応によるさらなる向上を目的として、今回サイトリニューアルのご相談をいただきました。

リニューアルするにあたり、会社のブランド定義、情報設計、サイトシステムの見直しをそれぞれ行いました。

  • 税理士・会計士のみならず国税局出身税理士による裏付けのあるコンサルティング
  • 難易度の高い案件に対応してきた実績
  • 会社全体で顧客に伴走する企業姿勢

これらの印象がサイトから伝わるように制作しました。

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事例②セブン-イレブン 50周年記念サイト

株式会社セブン-イレブン・ジャパン様の創業50周年記念サイト制作をお手伝いしました。

  • 50年の歴史を振り返る「50th ARCHIVE」
  • アンバサダーや著名人の方々からのお祝いメッセージのご紹介
  • 50周年フェア・イベント情報
  • 特別インタビュー企画

など、さまざまなコンテンツをお届けしています。

さらに7月11日の「セブン‐イレブンの日」には次の2つのコンテンツを公開しました。

  • 全国の小学生・中学生からイラストを募集する「みらいの街を描こうコンテスト」
  • 4つのビジョン(健康・地域・環境・人財)を通して豊かな社会・環境を未来世代へとつなげるための取り組みをご紹介する「4 VISIONS」

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企業ブランディングはライデンへ

私たちライデンは、大手企業を中心として数多くのコーポレートブランディングを手がけていますが、エッセンスは中小企業にも共通するものがあります。
むしろ中小企業の方が、組織全体でブランディングを推進しやすい環境があるといえるでしょう。

ライデンでは、ブランドづくりの戦略から広報物の制作まで、お客様のビジネス課題の解決にむけて伴走します。
コーポレートブランディング強化プロジェクトをお考えなら、ぜひライデンにご相談ください。

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