RYDEN

ブランディング戦略|期待できる効果や弊社事例についても紹介

2022.12.21
クリエイティブプロデュース デザイン ブランディング
ライデンBlog担当

広報活動やマーケティング活動でよく耳にする「ブランディング戦略」。言葉は聞いたことがあっても、その意味を正しく説明できない方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、「ブランディング戦略とは何か」「ブランディング戦略で得られる効果は何か」「ブランディング戦略はどのような流れで進めるか」などを詳しく解説します。

事例も紹介するため、ぜひ自社のブランディング戦略を進めるにあたっての参考にしてください。

ブランディング戦略とは企業の存在価値をより多く浸透させ、より強くさせる戦略

ブランディング戦略とは、市場において企業やブランドの認知を拡大して、消費者に対して存在価値を浸透させることです。企業の存在価値を強める戦略領域は、大きく分けて3つあります。

  1. 市場におけるブランディング
  2. 社内におけるブランディング
  3. 人材市場におけるブランディング

3.の「人材市場におけるブランディング」は「採用ブランディング」と呼ばれるもので、これからピークを迎える生産労働人口の減少、内需のパイを奪い合いような厳しい環境が予想される中で、自社と相性の良い人材をいかに採用できるか、ここ数年特に重要視されるようになっています。

①市場におけるブランディング

市場におけるブランディングは、消費者に対してブランドのイメージを浸透させることを指します。たとえば「クリスマスに食べるチキンといえばケンタッキー」のように、ポジショニングが確立された状態が理想です。市場におけるブランディングが浸透しブランドの価値が高まれば、長期的なファンの獲得と売上向上が見込めます。

②社内におけるブランディング

社内に向けたブランディングは、別名「インナーブランディング」とも呼ばれます。企業理念や自社商品・サービスに対するイメージを従業員で共有し、内側から企業の存在価値を高める戦略です。従業員のエンゲージメントが向上すれば、提供する商品やサービスの質の向上も期待でき、消費者の満足度も高められる可能性があります。

③人材市場におけるブランディング

採用ブランディングとは、より優秀な人材に入社してもらうために自社をブランド化して企業価値を高めることです。また、入社希望者に企業価値やビジョンを知ってもらうための活動を指します。たとえば、インターンシップやリクルーターとの面接、リファラル採用などです。入社後のギャップを減らし、入社意向が強い人材を確保することで、定着率の向上も期待できます。

ブランディング戦略の必要性

なぜ企業はブランディング戦略に力を入れる必要があるのでしょうか。私は下記だと思っています。

消費者や社内外のステークホルダーから信頼を得て、市場で優位に立つため

つまり消費者や社内外の人々に対して、企業価値や商品・サービスの価値を発信して、信頼と愛着を持ってもらうよう浸透させる。これにより、企業のアイデンティティやブランドの価値を理解してもらい、競合他社との差別化を図れるようになる。いかがでしょうか。

ブランディング戦略で期待できる効果・メリット

ブランディング戦略で期待できる効果・メリットには、以下が挙げられます。

 

  1. 競合他社との差別化が実現する
  2. 信頼と愛着がうまれる
  3. その結果、継続的なファンになってもらえる
  4. ブランドが自走し、継続的に利益をうむ

 

単に消費者に対して自社商品・サービスを知ってもらうだけでなく、ブランドの付加価値を創出(見える化)することで、消費者から信頼され、好きになってもらうことができる。人間関係と同じですね。その結果、競合他社に負けない、市場における優位性を確立できるようになります。

①競合他社との差別化が実現する

ブランディング戦略では、自社の商品・サービスの強みや弱みを追及して分析します。そのため、アピールできるポイントが明確になり、競合他社との差別化が期待できます。もしくは独自のポジションが確立できるでしょう。差別化ができれば単なる価格や機能だけが選ぶ理由とはならず、「意味」に対して対価を払ってもらえるので高単価の商品でも購入してもらえる可能性があります。

②信頼と愛着がうまれる

差別化を図る際に言語化した独自の魅力が正しく消費者に伝われば、商品やサービスの期待が外れる可能性を防げます。期待通り、もしくはそれ以上の満足度を消費者に提供できれば、信頼や愛着がうまれるでしょう。また、期待通りの商品・サービスを提供する企業であると安心感も与えられます。

③その結果、継続的なファンになってもらえる

継続的なファンになってもらうには、何度も満足度の高い商品やサービスを提供し、信頼度や愛着を高めることが必要です。一貫したコンセプトでブランディング戦略を実施すれば、より効果的にブランドイメージを浸透できるため、競合他社と比べることなく長期的に自社商品を選んでもらえる可能性が高まります。

④ブランドが自走し、継続的に利益をうむ

ブランドが確立すれば、商品やサービス自体がブランド価値を常に高めることも可能です。たとえば、ディズニーリゾートが挙げられます。ディズニーリゾートの世界観に共感した消費者は、特に広告を見ていなくても何度もディズニーリゾートに訪れ、チケットを購入します。なぜなら夢の国というブランドコンセプトが揺るがず、消費者が夢の国での時間を実体験するためです。このようにブランディング戦略が成功すれば継続的に利益が得られる仕組みを作れます。

ブランディング戦略を行う上での注意点・デメリット

ここでブランディング戦略における注意点を少し。

 

  1. マーケティングとの違いを理解して、混同しないようにする
  2. 即効性のあるものではない。時間的コストは必要
  3. 確実にブランド強化につながるブランドコンセプトを見極める

ブランディング戦略を実行するにあたっては、相手を痺れさせるブランドコンセプトでなければ意味がありません。提供する価値をきちんと設計したうえで、価格設定やブランドロゴ、あらゆる接点における顧客体験を検討することが重要です。

また、ブランドを確立するまでには、長期にわたっての取り組みが求められます。時間的なコストを踏まえたうえで、根気強く取り組む必要があります。

①マーケティングとの違いを理解して、混同しないようにする

ブランディングは「消費者から信頼を得て、ブランドの価値を高めること」が目的です。一方で、マーケティングは「売れる仕組みを作り、売上を上げること」が目的です。企業の成長には、相互の連携が必要不可欠ですが、混同しているとアプトプットや目標指数の設定で混乱する可能性があるため注意しましょう。

②即効性のあるものではない。時間的コストは必要

ブランディング戦略で結果を出すには、相応の期間を要します。なぜなら、ブランドを認知してもらい、イメージを浸透させるためには、何度も消費者とコミュニケーションを重ねる必要があるためです。長期にわたれば社員も市場も顧客のニーズも変わるため、常に未来を見越したブランディングを実施する必要があることを認識しておきましょう。

③確実にブランド強化につながるブランドコンセプトを見極める

ブランドコンセプトは、いわゆる他社と差別化できるポイントです。ブランドコンセプトが他社と似ていれば、自社に魅力を感じてもらう前に価格競争で負けてしまいます。そのため確実にブランドを強化するためには、環境分析や提供価値の設計を入念にして、自社にしか提供できない価値を見出すことが重要です。

ブランディング戦略を実行する流れ

そしてブランディング戦略は、非常にざっくり書くと以下のような流れで進めます。

 

  1. 環境分析、提供価値の設計
  2. ブランドコンセプトの開発
  3. ブランディング実施(アウトプット)
  4. 効果測定・分析・チューニング

 

しっかりと設計した価値を具体化する”ブランドコンセプト”を開発する際は、事前に市場や競合、自社の強み・弱みなどを多角的に分析することが欠かせません。また、定期的に消費者へのアンケート調査やWeb広告のアクセス解析、商品購入後の口コミ評価などでブランディング効果を測定・分析して、戦略を微調整(大きく変えることはしてはいけません)していくことも重要です。

①環境分析、提供価値の設計

ブランドコンセプトを明確にするには、外部環境と内部環境を分析することが重要。外部環境とは、トレンドや競合など自社を取り巻く環境を分析することです。3C分析やPEST分析が用いられます。一方で内部環境の分析では、主にSWOT分析を用いて、自社の商品やサービスの強みや弱みの分析をします。客観的な視点で分析し、市場における立場を把握してください。

②ブランドコンセプトの開発

ブランドコンセプトとは、「商品やサービスを通して消費者がどのようなメリットが得られるのか」を言語化したもの。消費者からの共感や愛着を持ってもらうためにもブランドコンセプトは重要です。消費者がブランドに抱くイメージと、ブランドが消費者に届けたいメッセージの間に生じるずれを減らすためにも、ブランドコンセプトは明確に設定しましょう。

③クリエイティブ(アウトプット)

ブランドコンセプトを元に、消費者との接点となるすべてのチャネルでクリエイティブを開発します。ネーミングやコピー、ビジュアルなどのコアなクリエイティブを様々なメディアに展開します。このブランディング実施の工程は、ブランドイメージが正しく消費者に伝わるように、企業が「こうみられたい」というイメージと消費者の心の中のイメージを合わせていく作業と言えるでしょう。

④効果測定・分析・チューニング

長期間を要するブランディングにおいて、少しでも効率と効果を高めるためには効果測定が欠かせません。数値化が難しい分野ではありますが、目標指数(KPI)を設定し、定期的に効果測定と分析をしましょう。KPIには、たとえば認知率やNPSなどが挙げられます。分析内容から課題を見つけ、ブランドコンセプトの見直しやアウトプットの改善を繰り返しましょう。

ブランディング戦略で意識するポイント

さらに、ブランディング戦略で意識したいポイントがいくつかあります。

 

  1. どんな価値を提供して誰に愛されたいのか、明確にする
  2. 解像度の高いブランドコンセプトを開発する
  3. 市場でのポジションをはっきりさせる
  4. 消費者・顧客視点でブランド体験を考える

 

上記のなかでも、「消費者・顧客視点でブランド体験を考える」ことについては、特に意識したいポイントです。どれだけ製品やサービスが魅力的なものであっても、相手がそれを魅力に感じなければ、ブランドの確立にはつながりません。消費者・顧客の視点に立って考えることで、本当に質の高いブランド体験は何か?が見えてくると思います。

以前弊社代表の井上に、ブランディング戦略について聞いたことがあるのですが

「戦略」っていうのは戦いを略す、ということだ、戦略がなければ戦ってダメージを負ってしまうが、正しい戦略があれば戦って傷つかずに済むよ

という中国故事のようなユルい回答をもらったことがあります。

【一例】ブランディング戦略の成功事例

海外へのブランディング戦略が成功し、日本有数のブランドになった「ユニクロ」の事例を紹介します。ユニクロは、海外進出とともに『LifeWear』というブランドコンセプトを確立させました。LifeWearとは「あらゆる人の生活を、より豊かにするための服」を意味します。

さらに、そのコンセプトの中には、日本独自の品質やこだわりなどの強みを押し出す意味も含まれています。モデルには、世界中のトップアスリートを起用しました。

このように、シンプルで分かりやすいコンセプトと、海外で影響力のあるモデルを起用することで、海外へのブランディング戦略を成功させたのです。

【一例】ブランディング戦略の失敗事例

海外でのブランディング戦略を成功させたユニクロですが、実は過去に戦略を失敗してしまった事例もあるようです。

ユニクロは、過去に野菜事業へ新規参入したことがありました。しかし結果的には、数年で事業を撤退することとなってしまいました。
弊社代表の井上曰く、当時20代だった井上が働いていたデザインIT会社の社長も、「野菜?作る?なんて素晴らしい視点だ!」と感激されていたようです。

原因としては、ユニクロの強みである「企画から生産、販売までの一貫したビジネスサイクル」を活かしきれなかったことなどがあるのかもしれませんが、数年後には『GU(ジーユー)』ブランドで業績を上げて、大成功を収めています。

【弊社実績】ブランディング戦略としてサイト制作を行った事例

ここからは、ブランディング戦略としてサイト制作を行った弊社での事例を紹介します。

製品のブランディング戦略|株式会社Kirala様|Kirala Air「ハイブリッドネックファン Nino」

こちらは、製品ブランディングの事例です。

感覚的に製品価値を理解できるコピーとビジュアル、さまざまなシーンで自由に使えるというプロダクトのコンセプトでビジュアルブランディングを強く意図しています。

関連記事:Kirala Air Nino

診断ツールでのブランディング戦略|株式会社リブセンス・株式会社PARTY様|マッハバイトシンギュラリティ駆逐度診断

こちらは、PRツールを制作してブランディングを実施した事例です。(※)

マッハバイトの「すぐにバイトが決まる」というコンセプトと、「人工知能(AI)が人間の能力を超える」というシンギュラリティをかけ合わせたブランディング戦略のWebサイト制作を担当しました。
将来、さまざまな仕事が人工知能によって奪われてしまう前に、すぐに仕事が見つかるマッハバイトに登録しようというコンセプトのWebサイト。人工知能に詳しい落合陽一氏に登場いただいたこともブランディングにおけるポイントの一つです。
(ライデンではWebサイト設計/制作のみ担当しています)

(※)サイトはすでに公開終了しています。

関連記事:マッハバイト シンギュラシティ診断

ブランディング戦略はライデンにお任せください

ブランディング戦略でお悩みのある方は、ぜひライデンまでご相談ください。「戦略」と「クリエイティブ」のハイブリッドで、御社の強靭なブランディング戦略を支援します。

とくに弊社の強み(UPSですね)といえるのが、高いレベルのビジュアルデザインです。大手企業のWebサイトからデザイン性の強いプロモーションサイトまで、幅広く手がけた実績を持ち、皆様にも気持ちよく、ライデンへ愛着と信頼を持っていただけると思います。

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